すぐに使える!行動経済学のナッジを活用したマーケティングのテクニック

今回は、行動経済学の「ナッジ」(ナッジの詳しい記事「今注目されている行動経済学のナッジとは?」にて解説しました。)マーケティングで活用できるナッジを詳しく解説します。ナッジは消費者の意思決定を強制ではなく自然にしやすい方へ促す効果があります。精度の高いマーケティングを実践する為に是非活用いただきたい理論です。

目次

マーケティングで活用できるナッジのテクニック

1.デフォルト

とってほしい選択を初期値として設定しておくことで、異なる選択をとる可能性を低くするテクニックです。例えば、メルマガの配信やポイントカードの加入などで使われます。

これは、強制ではなくユーザーや消費者が自由に選択できることが前提です。(メルマガの解除など)

デフォルトは何かの意思決定をショートカット、あるいは省くことで初期(デフォルト)の時点で意思決定がされている状況を作る効果があります。

2.フィードバック

特定の行動を起こしたらすぐに反応が返ってくる仕組みを作ることで、自発的に行動を起こすよう誘導するテクニックです。

例えば、入力フォームでエラーがあればすぐに指摘することで正しく入力を促すことや、健康アプリで睡眠時間などをフィードバックすることで、より健康面で気を付けようと誘導することができます。

3.フレーミング効果

同じ情報でも表現の仕方によって受け取り方が変わるという心理現象を利用するテクニックです。

例えば、ビタミンC 1000mg入りとビタミンC 1g入りのドリンクならビタミンC 1000mg入りのドリンクの方が効果がありそうと感じることや、商品の価格を「20%オフ」ではなく「100円均一」の方がお得感があると感じることなど実際のビジネスシーンでも活用事例は多数あります。

4.ハーディング現象(同調現象)

人は多数派に合わせたいという心理が働くため、他の人がどういう選択をしているかを示すことで、その選択に誘導するテクニックです。例えば、行列のできている飲食店を見かけたら、「並んでいるからきっと美味しいに違いない」と思うでしょう。食べたこともないのにそう考えてしまう心理現象がハーディング現象です。

この効果を狙い、敢えて店舗のキャパを小さくし外で並ぶように店舗を設計した飲食店もあります。また商品ページに「この商品は今月○○人が購入しました」と表示することも、「きっと良い商品に違いない」というハーディング効果が期待できます。

5.インセンティブ

特定の行動をとった際にメリットを与えることで再度その行動を促すテクニックです。

例えば、スタンプカードやポイント制度などで使われます。ただしインセンティブといえば、いわゆる金銭的なものが印象的ですが、ここでいうインセンティブとは金銭的なものだけではなく、社会貢献性などその人にとっての経済価値も対象となります。たとえば、A店でもB店でも売っている商品があったとします。

A店でもB店でも価格はほとんど変わりない、しかしB店は売上の1部を貧しい国の子供の支援や環境保護へ寄付している。この場合、社会貢献に積極的な(あるいは協力的な意思がある)人ならB店で買うでしょう。

6.ラベリング効果

人は自分に与えられたラベルや役割に沿って行動しようとする心理が働くため、望ましいラベルや役割を与えることでその行動に誘導するテクニックです。

例えば、「あなたは環境に優しい人ですね」と言ってエコバッグの購入を促すことや、「さすが美意識が高いですね。」と言って高価なスキンケア商品の購入を促すことなど活用されているシーンは多数あります。

社内での活用も増えております。たとえば、「あなたは周囲に目が配れて、いつも助かります。」と声をかけることで、その方はラベリングされた「周囲に目配りができる」人としてふるまうようになります。このように強制ではなく自らが行動変容することを促すこととして活用できます。

7.アンカリング効果

アンカー(anchor)は、船の錨(いかり)のことですが、「錨を下ろす」という動詞でもあります。つまり、アンカリングとは、船の錨を下ろすことです。

人は最初に提示された数字や情報に引きずられて判断する傾向(つまり、錨を下ろされる)があるため、高い数字や情報から提示することでその後の選択に影響を与えるテクニックです。

例えば、「通常価格1万円が本日のみ5,000円で販売」や、「通常1kg 5,000円のところを今だけ30%増量の1.3kg5,000円で販売」などのように、最初の「1万円」、「1kg5,000円」がアンカーとなり次に提示された「5,000円」「1.3kgで5,000円」がお得に感じられます。

その他の例では「あと残り3部屋」「在庫5個」などのように数に限りがあることを伝えることで、それがアンカーとなり、購買意思決定を促す効果が期待できます。

8.ハロー効果

行動経済学のハロー効果とは、対象者の目立つ特徴に影響されて、その人の全体的な印象を過大にもしくは過小に評価してしまう心理現象です。後光効果とも呼ばれます。

例えば、見た目で「仕事が出来そう」「学歴があるから真面目な人」と判断してしまうこともハロー効果です。

テレビ番組で有名な料理人が取り上げた翌日、コンビニやスーパーで売れきれになる現象がありますが、これもハロー効果によるものです。

9.権威の服従

人は権威のあるものを信頼し、正しいと思ってしまう、という心理現象です。

著名な専門家が推奨した商品や有名な大学の教授が監修した商品、大学との共同研究開発した商品を使ったこともないが「きっと良い商品だ」と考えてしまう経験は誰にでもあるでしょう。

このように人は自分よりも社会的地位の高い人や専門家など優れていると感じている人に対してはあまりよく考えずにシンプルに信じるという思考になりがちなのです。

商品開発の際にこの理論を検討してはいかがでしょうか。

まとめ

以上、様々なテクニックをご紹介しました。

これらのテクニックは、ウェブサイトやメールマーケティングなど様々な場面で応用できます。ナッジ理論は難解な理論ではありませんが、効果的に使うためには顧客の心理や行動パターンをしっかり分析する必要があります。

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    この記事を書いた人

    経営戦略、事業戦略、マーケティング戦略など戦略領域でスタートアップから大企業まで600社以上の支援実績を持つ。

    経営学、行動経済学などのアカデミズムの知をビジネスに実践的に取り入れたコンサルティングを得意とする。

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