インターナルブランディングとは?目的や進め方、成功事例をわかりやすく解説

目次

❶ インターナルブランディングとは?

事例のイメージ画像

インターナルブランディングとは、企業のブランド価値や理念を社内に浸透させ、従業員一人ひとりがその価値を理解し、体現できるようにする取り組みのことを指します。

企業の価値観やミッションを共有することで、従業員のエンゲージメントを高め、ブランドの一貫性を保つことができます。

❷ エクスターナルブランディングとの違い

エクスターナルブランディングは、顧客や市場に対して企業のブランド価値を発信する活動です。

一方、インターナルブランディングは社内に焦点を当て、従業員がブランド価値を理解し、実際の行動に落とし込むことを目的とします。エクスターナルとインターナルは相互作用し、企業ブランドの統一性を高める要素として機能します。

例えば、企業の広告戦略と社内教育が一致していなければ、顧客の信頼を損なう可能性があります。そのため、インターナルブランディングはエクスターナルブランディングと連携して進めることが重要です。

❸ インターナルブランディングブランディングの目的

  • 企業理念の浸透
    従業員が企業のミッション・ビジョン・バリューを深く理解し、日々の業務に反映できるようにします。企業理念を全社で浸透することで、全社的な方向性の統一が図られるようになります。
  • 従業員エンゲージメントの向上
    従業員のエンゲージメントが高い企業は、その企業で働く意義を感じて企業への帰属意識が高い企業です。エンゲージメントが高い企業は、従業員のモチベーションや生産性を向上します。
  • 採用・定着率の向上
    企業文化に共感する従業員を増やし、優秀な人材の確保と離職率の低下を図ります。特にミレニアル世代やZ世代は企業の理念に共感することで長く働く傾向があります。
  • 企業文化の形成
    一貫したブランド価値観を持つ企業文化を築くことで、組織の一体感を強化します。企業文化がしっかり根付くと、組織の方向性が明確になり、社内の意思決定もスムーズになります。

❹ インターナルブランディングが注目される理由

近年、インターナルブランディングブランディングが重視される背景には、以下のような要因があります。

  • Z世代の価値観の変化
    「どんな仕事をするか」だけでなく、「どんな企業で働くか」がキャリア選択の重要な要素となっている。企業の理念や文化に共感しないと、転職を考える傾向が強い。
  • 離職率の上昇
    従業員が企業理念に共感できないと、転職を考えやすくなっている。特に若手社員の定着率が低い企業では、インターナルブランディングの重要性が増している。
  • リモートワークの普及
    オンライン環境でも企業文化を維持し、従業員のエンゲージメントを高める必要性が増している。リモートワークでは、従業員同士のコミュニケーションが希薄になりがちなため、インターナルブランディングがより重要になる。

❺ インターナルブランディングの効果

インターナルブランディングを実践することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 従業員のエンゲージメント向上
    企業への愛着が強まり、主体的に業務に取り組む。Gallupの調査によると、エンゲージメントの高い企業は生産性が21%向上する。
  • 離職率の低下
    企業理念に共感し、組織に長く定着する従業員が増える。社員が会社の価値観に共感すると、仕事に対する満足度も向上する。
  • ブランドの一貫性確保
    従業員がブランドの価値を理解することで、社内外の発信内容が統一される。これにより、顧客に対してもブレないブランドイメージを提供できる。
  • 生産性の向上
    ミッションに共感した従業員は、高いモチベーションで働く傾向がある。Googleの「プロジェクト・アリストテレス」では、心理的安全性とブランドへの共感が生産性向上に寄与することが示されている。
  • 採用力の強化
    企業文化に魅力を感じた求職者の応募が増える。優秀な人材を引きつける要因として、企業理念の明確さが重要視されている。

❻ インターナルブランディング実践の流れ

STEP
企業理念・ブランド価値の明確化

企業の価値観やビジョンを明確にし、言語化・映像化など分かりやすいメッセージにします。例えば、スローガンや企業の歴史を交えたストーリーテリングを活用し、従業員に共感を促します。

STEP
トップマネジメントのコミットメント

経営者自らがブランド価値を体現することが重要です。社内イベントでのスピーチや定期的な対話の場を設けることで、積極的な関与を示していくことです。

STEP
従業員との対話を通じた理解促進

意見交換会やワークショップを実施していくなど従業員とのコミュニケーションが重要です。従業員が企業理念をどのように業務へ活かすかを具体的に考える機会を提供していきます。

STEP
研修・ワークショップの導入

新入社員研修だけでなく、既存社員向けの継続的な研修を実施し、ブランド価値を実践できるスキルを身につけていきます。これは、部門単位で実施するのではなく部門の垣根を超えて部門横断的に実施することが重要です。

STEP
評価制度の整備

ブランド価値の実践度を評価し、報酬や昇進に反映させることで、従業員のモチベーションを向上させます。

STEP
フィードバックの仕組み構築

定期的なアンケートや従業員からの意見収集を行い、ブランド浸透度を把握し、改善策を講じていきます。

STEP
社内コミュニケーションの活性化

社内SNSや定例ミーティングを活用し、オープンなコミュニケーション文化を醸成します。

STEP
インターナルブランディングの成果測定と改善

エンゲージメントスコアや離職率の推移を分析し、施策の効果を評価しながら、持続的な改善を行ます。

❼ インターナルブランディングを進める上で気を付けること

  1. トップダウンではなく、ボトムアップも重視する
    ・経営陣が一方的に決定し、従業員に押し付けるのではなく、現場の声を取り入れることが重要です。
    ・意見交換会や社内アンケートを活用し、従業員が積極的にインターナルブランディングの取り組みに参加できる環境を作りましょう。
  2. 短期間での成果を求めすぎない
    ・インターナルブランディングは一朝一夕で成果が出るものではありません。
    ・企業文化の浸透には時間がかかるため、長期的な視点で取り組むことが大切です。
    ・短期目標と長期目標を設定し、進捗を可視化することでモチベーションを維持できます。
  3. 従業員が納得できる仕組みを作る
    ・経営側の一方的な押し付けではなく、従業員が「自分ごと」として捉えられる仕組みが重要です。
    ・企業理念やブランド価値を、従業員の日常業務に結びつける工夫を行いましょう。
    ・具体的には、社員表彰制度や成功事例の共有などが有効です。
  4. 社内コミュニケーションを活性化する
    ・部門を超えた意見交換や、オープンなディスカッションの場を設けることが重要です。
    ・社内SNSや社内報などを活用し、経営陣からのメッセージや企業のビジョンを日常的に発信しましょう。
    ・社員同士の交流を深めることで、一体感が生まれ、ブランドの浸透が進みます。
  5. ブランド価値を日常業務に落とし込む
    ・企業のブランド価値や理念が、実際の業務プロセスに反映されているか確認しましょう。
    ・例えば、サービス業ならば「お客様第一主義」を実践できる環境を整えたり、製造業ならば品質向上を意識した業務フローを設計することが重要です。
    ・ブランド価値が業務に落とし込まれることで、従業員が自然とブランドを体現する行動を取るようになります。
  6. 成果を可視化し、従業員にフィードバックする
    ・インターナルブランディングの成果を定期的に測定し、フィードバックを行うことで、継続的な改善が可能になります。
    ・KPI(重要業績評価指標)として、従業員のエンゲージメントスコア、離職率、社内アンケートの結果などを活用します。
    ・成果が可視化されることで、従業員のモチベーションが向上し、さらなるブランド浸透につながります。

❽ インターナルブランディングの成功事例

事例1: スターバックス – 企業理念の浸透

スターバックスは、従業員(パートナー)に対してブランド価値を浸透させるために、徹底したトレーニングプログラムを実施しています。従業員一人ひとりがブランドの価値を理解し、顧客に対して一貫したサービスを提供できるようにしています。

事例2: パタゴニア – 企業文化の確立

アウトドアブランドのパタゴニアは、企業理念「地球を救うためにビジネスを行う」を明確に打ち出し、環境保護活動を社内文化として徹底しています。従業員には環境保護活動への参加を奨励し、その行動がブランド価値の一部となっています。

事例3: Zappos – 従業員エンゲージメントの向上

オンライン小売業のZapposは、顧客サービスを重視した企業文化を築くために、企業理念の共有と実践に力を入れています。新入社員にはブランド価値に共感しない場合、退職金を支給して辞める選択肢を与えることで、本当に企業文化に合った人材のみを確保しています

事例4: トヨタ自動車 – 「トヨタウェイ」の浸透

トヨタは、企業理念「トヨタウェイ」を従業員に浸透させるために、継続的な研修やワークショップを実施しています。例えば、「カイゼン(改善)」の文化を従業員一人ひとりが実践できるよう、社内で定期的な発表会を開催し、成功事例を共有しています。これにより、ブランド価値の理解が深まり、業務の効率化にもつながっています。

事例6: ユニクロ(ファーストリテイリング) – グローバル水準の研修制度

ユニクロは、従業員のブランド理解を深めるために、グローバル水準の研修プログラムを提供しています。特に、新入社員にはブランドの理念やビジョンを徹底的に学ぶ機会を与え、店舗運営においても顧客との接点でブランド価値を発揮できるよう指導しています。これにより、世界中のユニクロ店舗で一貫したブランド体験を提供できるようになっています。

❾ まとめ

インターナルブランディングは、企業の理念やブランド価値を従業員に浸透させることで、組織のエンゲージメント向上、離職率低下、生産性向上といった効果をもたらします。

大企業だけでなく、中小企業においても有効な手段であり、適切な施策を講じることで、企業文化を強化し、持続的な成長を促すことができます。

是非、インターナルブランディングを実践してください。

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    この記事を書いた人

    経営戦略、事業戦略、マーケティング戦略など戦略領域でスタートアップから大企業まで600社以上の支援実績を持つ。

    経営学、行動経済学などのアカデミズムの知をビジネスに実践的に取り入れたコンサルティングを得意とする。

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