経営者必見!エージェンシー理論で実現する“信頼される組織”のつくり方

目次

導入:なぜ今「信頼される組織」が必要なのか

多くの企業が「人材不足」「若手の定着率低下」「社内コミュニケーションの分断」といった課題に悩んでいます。背景にあるのは、単なる制度や待遇の問題ではなく、“信頼関係の欠如”です。とくに中小企業や中堅企業においては、経営者の意図が現場まで伝わらなかったり、従業員が経営の意思決定を理解しきれなかったりといった、“見えない壁”が存在します。この壁を理論的に説明し、解決の糸口を示すのが「エージェンシー理論(Agency Theory)」です。

エージェンシー理論とは?──経営者と従業員の間にある“見えない壁”

経営者のイメージ

理論の基本構造

エージェンシー理論とは、「ある主体(プリンシパル)が、別の主体(エージェント)に業務を委託する関係性」を分析する経済学・経営学の理論です。

  • プリンシパル:経営者、株主などの委任者
  • エージェント:従業員、管理職などの受任者

この関係の中で生じる問題が、

  • 情報の非対称性
  • モラルハザード(=自己利益を優先する行動)
  • 利害の不一致

といった課題です。

それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

情報の非対称性

プリンシパル(経営者)は経営全体の状況や目標、ビジョンなどを把握している一方、エージェント(従業員)は現場業務の範囲でしか情報を持ちません。この情報量や質の差が意思疎通のズレを生みます。
たとえば、経営層が「顧客満足度を重視して改善活動を行いたい」と考えていても、現場では「数値目標だけが重視されている」と捉えられてしまうことがあります。結果として、現場は経営の意図に反した行動を取ることになり、組織全体の方向性にばらつきが生まれます。

モラルハザード

プリンシパル(経営者)は経営全体の状況や目標、ビジョンなどを把握している一方、エージェント(従業員)は現場業務の範囲でしか情報を持ちません。この情報量や質の差が意思疎通のズレを生みます。
たとえば、経営層が「顧客満足度を重視して改善活動を行いたい」と考えていても、現場では「数値目標だけが重視されている」と捉えられてしまうことがあります。結果として、現場は経営の意図に反した行動を取ることになり、組織全体の方向性にばらつきが生まれます。

 利害の不一致

プリンシパルとエージェントが、それぞれ異なるゴールや評価軸を持っている場合、行動の優先順位にもずれが生じます。経営者は「組織全体の最適化」を目指しているのに対し、従業員は「部署の目標」や「自身の評価・昇給」を重視する傾向にあります。このような利害の不一致は、組織の中でサイロ化(縦割り)や衝突を引き起こしやすく、結果として信頼関係の損失につながっていきます。

 エージェンシー関係の構造

エージェンシーの構造化

たとえば、経営者が「顧客満足度を高めたい」と思っていても、従業員が「効率的に仕事を終わらせたい」と考えていれば、行動にはズレが生じます。このズレこそが、組織の中で“信頼関係の断絶”を生む原因です。

中小企業こそ陥りやすい「情報の非対称性」とは

なぜ「経営の意図」が伝わらないのか?

中小企業では、経営者の頭の中にあるビジョンや意図が、十分に組織内へ浸透していないケースが多々あります。
 ・経営者は「経営全体のバランス」を見て判断している
 ・現場の従業員は「自分の担当業務」しか見えていない
このギャップが、「情報の非対称性」です。

現場の誤解が信頼を損なう

・「方針がよく分からない」
・「自分たちの意見は聞いてもらえない」
・「急に施策が変わる、ついていけない」
こうした声が出ると、社員のエンゲージメントは下がり、最悪の場合「経営への不信」へとつながります。

経営への不信感

 信頼構築のために必要な3つの視点

エージェンシー理論では、以下の3つのアプローチによって関係性の改善が可能だと示されています。

  • インセンティブの整備
    人は報酬や評価によって行動を選択します。そのため、従業員の動機を経営目標と一致させるには、「成果に応じたインセンティブ制度」の構築が不可欠です。
     ・成果と報酬を明確に連動させることで、従業員の行動が戦略に沿ったものになります。
     ・数字だけでなく、顧客満足度やチーム貢献など定性的な評価も取り入れることで、バランスの取れた行動を促進できます。
  • 情報の開示・透明性の向上
    信頼関係の鍵は「見える化」です。情報が開かれていることで、従業員は「自分も経営の一部である」と感じやすくなります。
     ・経営会議の議事録を一部でも共有する、業績数字をグラフで可視化するなど、経営層の考えを見える形で伝えましょう。
     ・社内報や朝礼でのメッセージ発信、定期的なタウンホールミーティングなども、双方向の理解を深める手段として有効です。
  • モニタリングの仕組み化
    監視ではなく、対話のある「見守り」が大切です。信頼関係を築くには、定期的なコミュニケーションを制度として設けることが重要です。
     ・1on1面談、チームごとの振り返りミーティング、プロジェクト後のレビューなどを定期的に実施することで、信頼構築の場が生まれます。
     ・また、現場からの声を拾う仕組み(例:匿名フィードバック、社内アンケート)を整備することで、経営陣と現場のズレを最小化できます。

3つの改善ポイントのマトリクス図

エージェンシー理論を活かす実践ステップ

理論を知るだけでは組織は変わりません。信頼関係の再構築には、実際の制度設計や行動レベルでの変革が必要です。以下のステップを通じて、理論を経営に生かしていきましょう。

ステップ1:関係性の可視化

まず必要なのは、「現場とのギャップはどこにあるのか?」を明らかにすることです。

  • 従業員満足度調査や匿名アンケート、1on1面談などを通じて、率直な声を集めましょう。
  • 特に「何が分かりづらいか」「何が信頼を損なっているか」を把握することが重要です。

ステップ2:制度設計に理論を反映

課題が可視化できたら、実際の制度や文化に反映していきます。

  • 評価制度や報酬制度にインセンティブの視点を取り入れ、「成果が報われる仕組み」を明確に構築します。
  • 情報の開示についても、経営層の発信力を高めると同時に、社内での透明性を高める制度やツールを導入します(例:社内SNS、経営ダッシュボードの導入など)。

ステップ3:PDCAと第三者視点の導入

制度を導入したら、運用しっぱなしにせず、常に改善を前提に動かします。

  • 毎月・四半期単位での振り返りと評価を行い、「実際に信頼関係が改善されたか?」を確認します。
  • 必要に応じて、外部アドバイザーや第三者の目を入れることで、内部では見落としがちなバイアスも補正できます。

実際、当社「くじら」でも中小企業向けに、経営理論をベースとした制度改革や評価制度設計の支援を行っており、経営者と現場の“見えない壁”を取り払う支援をしています。

❻ まとめ

理論は現場でこそ生きる

エージェンシー理論は、決して大学の講義で終わる抽象理論ではありません。むしろ、**信頼される組織をつくりたいと願う経営者こそが活用すべき“実践の知”**です。

  • 経営者と従業員の関係性を見直す
  • ギャップを理解し、構造的に解決する
  • 信頼を生む仕組みとして理論を活用する

このように、「理論を経営の武器にする」ことこそが、持続可能な組織の基盤をつくる鍵になります。
私たちくじらでは、こうした経営理論を活かした支援を通じて、経営者と従業員がともに信頼でつながる“強い組織”づくりを支援しています。
次は、あなたの番です。 “信頼される経営”を、エージェンシー理論から始めてみませんか?

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    この記事を書いた人

    経営戦略、事業戦略、マーケティング戦略など戦略領域でスタートアップから大企業まで600社以上の支援実績を持つ。

    経営学、行動経済学などのアカデミズムの知をビジネスに実践的に取り入れたコンサルティングを得意とする。

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